top of page

「本好きフクロウの速達便」から「月あかり文庫」へ



コロナ禍による臨時休校で学校に縛られない時間が増えた2020年の春。高校生になった私にしかできないことで、何か世の中に貢献できることをやりたい、そんな思いつきからたどり着いたのが、このボランティアとしての活動でした。児童書紹介フリーペーパー「本好きフクロウの速達便」の発行です。

実際にフリーペーパー「本好きフクロウの速達便」として創刊したのは5月の下旬頃だったでしょうか。最初は、いくつかのウェブサイトで目を付けていた数軒の絵本カフェやフリーペーパー専門店、そして馴染みの子ども文庫など、数カ所に設置していただけでした。しかし、Twitterなどで広報を続けるうち、公共図書館や学校図書館をはじめ、全国的に展開することとなりました。 そして8月に発行した「本好きフクロウの速達便」2通目の設置場所は30を超え、発行部数は1000部にものぼります。これには活動を広げてきた私も驚いています。たくさんの人に読んでもらえるようになった分、多様なご感想が届くようにもなりました。中には、「フリーペーパーで紹介されていた本を子どものために購入することにしました!」というようなものや、「高校生が作っているということで手に取りましたが、改めて、児童文学の世界の奥深さに気付くことができました」というような大変好意的なレビューもたくさんありました。一方、厳しいご意見も無いわけではありません。迷いながらも大きめな字で構成した紙面にご指摘をいただいたり、本の紹介文についてアドバイスをいただいたり、今後の制作に向けて参考になる点が多かったです。 また、この活動を機に、高校生向けの課外プログラムへの応募も始めました。そうしたプログラムにはたいてい、エッセイなどの書類審査がつきものです。中には不合格をいただいたプログラムもありましたが、こうした文章を書く上で、私がフリーペーパーの発行を通じて、何を成し遂げたいのかが明確になってきた気がします。エッセイを書くために、自分やフリーペーパーの未来へ思いを馳せたことで、私の頭の中にぼんやりとあった想いや意志のようなものが顕著になってきたのです。

そして、何よりも大きな転機となったのは、子ども文庫「文庫 もりのなか こどものとしょかん」を主宰されてきた今西茂子さんへのインタビューでした。この子ども文庫は、私が幼い頃から毎週欠かさずに通っていたところで、家た学校に次ぐ第三の居場所のようなところでした。改めて、今西さんにインタビューしたことで、「もりのなか」と今西さんの考え方に触れ、これまでの私自身の「もりのなか」での本との出会いについて顧みることができました。 こうして、私の中にふつふつと、「本好きフクロウの速達便」への窮屈さと、再スタートへの想いが形になってきます。やはり、まず問題となるのはタイトルの長さです。例えば、140字という字数制限があるTwitterのツイートでは、「#本好きフクロウの速達便」というタグをつけるだけで、かなり文字数を占めてしまいます。また、検索ワードのトラッキングからは、「覚えてもらいにくいのでは?」という懸念も生じています。 そうして、児童書紹介フリーペーパーの再出発を考えたとき、私の頭の中に浮かんだイメージは「文庫 もりのなか」でした。思いのままに好きなだけ本を読め、良い本を紹介してもらえる、そんな子どもと本とをつなぎ合わせてくれる空間は、私にとって唯一無二のものでした。「文庫 もりのなか」が無ければ、今の私とは全く別のつまらない人間に成長していたと思います。

しかし、様々な理由でこうした子ども文庫などの施設を利用できない親子も多いのではないでしょうか。私は、そうした親子のために子ども文庫のようなフリーペーパーを発行しよう、と考えたのです。これまでの「本好きフクロウの速達便」から「フクロウ」の要素を取り出し、「月あかり」として、「月あかり文庫」にすることを決めました。サブタイトルは「本の森への案内板」です。




手軽に子ども文庫の空気を感じてもらい、素晴らしい数々の本の世界に浸ることで、本の虫になってほしい、そんな想いを胸に、これからは「月あかり文庫」としてフリーペーパーを発行していきます。

閲覧数:234回

最新記事

すべて表示
bottom of page